●人(ヒト)プラセンタとは
ヒトプラセンタは、文字通り人間の胎盤より抽出したプラセンタです。
人由来のヒューマンプラセンタと呼ばれる事もあります。
人間のプラセンタは、医療用の使用のみに限られています。
ヒトプラセンタは、他のプラセンタとは異なり、
プラセンタ療法として予め認可された特定の製薬会社だけが
製造することのできる医薬品になります。
現在、注射液に使用されるのは、人プラセンタのみとなっています。
人間のプラセンタは医療機関でのみ、使用や処方が認められています。
なので、実質利用することができるのは病院・クリニック等での
治療や美容効果に対してのみです。
医療機関では主に慢性肝疾患や、更年期障害などの婦人科疾患の治療に利用されます。
自律神経の調節や、やけどの治療に使われる事もあるようです。
美容クリニック等では注射や点滴の形で利用されます。
主に美容やアンチエイジングの目的で施術されます。疲労回復にも効果があります。
一般的に、注射は経口摂取よりも即効性があると言われています。
プラセンタ療法は基本的には保険適用外となりますが、
医師の指示による治療の際は保険が適用されます。
●ヒトプラセンタ製剤
ヒトプラセンタ製剤は、様々なウイルス検査を行い、感染症などに冒されておらず、
安全性が確認された健康な妊産婦の母体より摘出された胎盤より抽出されています。
日本国内にある病院・産院等で、
HIV、HBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)等の病気に感染していないか、
また健康な状態で問題なく出産したか等をしっかり確認しています。
もちろん、倫理上の観点から本人の同意を得ています。
抽出したあとも、国が指定している規定以上の加熱処理等を施して殺菌・滅菌をし、
厳しい品質管理の中、何重ものウイルス対策や安全性を検査した上で
医療用の注射液として製剤されます。
●薬事法改正
以前はOTC医薬品の原材料にも使用されて、一般にも流通していた
人プラセンタが医療機関のみの使用に制限されるようになったのは、
2003年の薬事法改正によるものです。
平成15年7月30日の薬事法改正によって、
ヒト由来のプラセンタの使用が許可されるのは、
医療用注射や点滴のみということに制定されました。
この背景には、医療用注射は体内に直接注入される成分の為、
拒絶反応が起こりにくくする事への配慮と、
プラセンタの需要が急激に増加したことによる原料不足や価格高騰がおこり、
またその裏で少子化による原料調達の困難による需要と供給のバランスが
崩れたことによる様々な混乱を予防する措置であったとも言われています。
●献血について
よく、「プラセンタを使うと献血できなくなる」という話を聞きますが、
これはヒト由来のプラセンタ製剤を注射した場合です。
平成18年に厚生労働省が発表した、
「ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用者の献血制限について」
という通達によると、
『注射剤によるvCJD(変異型クロイツフェルトヤコブ病)感染事例は報告されていないが、
輸血や臓器移植と同様にヒト由来の臓器から製造されていることから、
vCJDの伝播の理論的なリスクが否定できないため、念のための措置として、
その使用者について問診により献血を制限することとする』
となっています。
つまり、ヒト由来プラセンタ注射薬の原料である、ヒト胎盤からの
異常プリオン感染による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の危険性が、
理論上完全に否定できないことから、
ラエンネック・メルスモン等のヒトプラセンタ製剤の注射をした人は、
献血ができなくなっているという事です。
注射をする際には、医師から十分な説明があると思いますが、
事前に良く検討する事が必要です。