「プラセンタを使うと献血できなくなる」
という事が良く言われていますが、
これはヒト由来のプラセンタ製剤を注射した場合のことです。
内服薬・化粧品・ドリンク剤など、経口摂取や皮膚吸収の場合、
つまり注射以外の接種方法なら、献血する事ができます。
日本赤十字社は平成18年10月10日より、
「ヒト胎盤(プラセンタ)由来製剤の注射薬を
過去に使用したことのある方の献血をご遠慮いただいております。」
と発表しました。
対象の注射薬とは、ラエンネック(日本生物製剤)とメルスモン(メルスモン製薬株式会社)
ですが、これ以外でもヒト由来プラセンタ製剤を注射した事があれば、制限の対象となります。
これは、平成18年に厚生労働省が発表した、
「ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用者の献血制限について」
という通達によるものです。
この目的は、プラセンタ注射薬を使用することによって、
vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)に感染するリスクが
理論的に否定できない事による慎重な予防的対応としてです。
このvCJDの症状は、急激な意識障害や運動失調、進行性の痴呆が特徴の
中枢神経疾患です。
現状でvCJDは検査方法や発病を予防する方法が、未だ研究段階にあり
確立されていません。
ですから、徹底的な感染リスクの除去が重要なのです。
但し、プラセンタ製剤からのvCJDの感染は、今のところ報告されていません。
しかし、前述した感染リスクが払拭できない為、
治療者に対し、各医療機関にてカルテを20年間保管することが
義務付けられています。
日本赤十字社では、献血の際に、過去のプラセンタ注射の有無を
問診票で確認するほか、ポスター等の掲示物を利用して理解を求めています。
冒頭でも書きましたが、
献血が制限されるのは、プラセンタの注射剤を使用したことのある人だけです。
サプリメントやドリンク剤などの健康食品・化粧品・内服薬などは、
献血の制限は受けません。
理由は、筋肉注射や皮下注射に比べて、理論上の危険性が少ないと考えられている為です。